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こっそりSSを書くスレ

1 : : 2005/03/21(月) 00:55:43
SSを書くスレです。
感想OK。批評は作者の許可を得てからに。
当然過剰な悪口は駄目。
ジャンルは問わず。
無断転載禁止。
過剰なエログロ禁止。


2 : : 2005/03/22(火) 01:33:19
一作かいたのでさっそく書き込ませていただきます。
私の書いた物に対しては感想批評大歓迎です。
(中傷は困るけど)

ジャンル:あずまんが大王
製作期間:一日強


3 :サークル : 2005/03/22(火) 01:37:07
暦は自室で勉強していた。
今までしたことの無い類の勉強なので、勝手が分からず骨がおれる。
必ず一つの答えが出る問題ばかりだった高校までの勉強とは明らかに違う。
ちよちゃんだったら、こういうのも楽々やっちゃうんだろうなあ、などと
高校のときの同級生のことを思い出しながら手を進めていた。
気が付けばもう五月。新しい友人もでき、暦はそれなりに快適な大学生活に入っていた。
ちょっと休もうと思い、暦は鉛筆を置いて椅子から立ちあがった。
目を瞑って体を仰け反らせると、体中を心地よい痺れが突き抜ける。
思わず溜息がでた。我ながら親父くさい。
それにしても。
暦は思う。
智とも一ヶ月くらい会ってないな。ちゃんとした大学生になっているんだろうか・・・。
そういえば高校にいた時もそんなこと考えてたっけ。
夜更けに窓から入ってくるような奴が大学生になれるのか、なんて。
窓の外で震えながらこっちに手を振ってる姿は今でもはっきり思い出せる。
こいつは本当の馬鹿だ、と思ったものだ。今となってはいい思い出だが。


4 :サークル : 2005/03/22(火) 01:37:31
ノックの音がした。
「はい」
暦は返事をする。しかし扉からは誰も入ってこなかった。
またノックの音。暦は気が付いた。
ドアからのノックじゃない。ということは、まさか。
嫌な予感がする。暦は窓に寄り、カーテンに手をかける。
既視感?いや、これはデジャビュなんかじゃない。
暦はカーテンを開けた。暗い中に赤いTシャツが浮かんでいる。
「………お、よみー。早く開けてくれー」
智がこちらに向かって震えながら手を振っていた。
暦は思った。こいつは本当に馬鹿だ。


5 :サークル : 2005/03/22(火) 01:38:37
「なんの用だよ、全く。もう高校生じゃないんだからな」
暦はぶつぶついいながら智を部屋に引き上げてやった。
智は震えながらも嬉しそうに暦の肩を叩いてくる。
「いやあ、久しぶりだねえ、よみくん。なーんか相変わらずって感じだなー」
「お前は退化してんじゃないのか?」
「いいじゃんそれでも!若いってすばらしい」
「ていうかお前、何の用だよ。来るなら電話してくれればいいのに。相変わらず窓から入ってくるし」
「なんていうかさ、インスピレーションが働いてさ」
智はそう言ってベッドに腰を降ろした。
「それに今の時間じゃ玄関から入りにくいじゃん」
暦は時計を見る。午後十一時過ぎ。確かにドアベルを押すには非常識な時間だろう。
だからといって窓から入るのも非常識だよな、と暦は思う。
ここからしか入れないのか、こいつは。
「それにしても、五月になったってーのに、寒いなあ。なんか着てくりゃよかった」
「全く。もっと早く来ればいいのに」


6 :サークル : 2005/03/22(火) 01:38:57
暦は智に半纏を投げてやった後、椅子に腰掛けた。
「何の用で来たんだ?わたしの顔が見たくなった、なんて言うんじゃないだろうな」
「あっはっはっは。なにそれ冗談きついなー」
智は笑いながら半纏に腕を通した。
「話を聞いて欲しいんだよ。よくあるでしょ?世にも奇妙な体験ってやつ」
「はあん、窓から人が入ってきたりとかか?」
「うん、まあそういうやつ。このあいだの土曜日にわたしと大阪が
その不思議体験をしたんだ!」
「あのな、ちゃんと聞いてるからあんまり大声だすなよ」
「わかったわかった。うん、けっこうマジで不思議な話だから、真剣に聞いてよ」
智は咳払いをして話し始めた。


7 :サークル : 2005/03/22(火) 01:40:02
以下は、智の話を三人称でまとめたものである。

四月も下旬の先週の木曜日のこと。
大学のコンビニで偶然出会った智と大阪は二人で構内の生協に昼食をとりに
行くことになった。
「でも本当に久しぶりやなあ。案外会わへんもんやね」
窓際のテーブルにそれぞれランチを持って座ると、
大阪は待ちかねたように話しかけてきた。
「そうだねえ。まあ、学部も違うし、ここは人多いし、仕方ないんじゃない?」
智は日替わり定食をかきこむように食べながら答える。
遅刻しそうだったので朝食抜きだったのだ。
「そうやなあ、仕方ないなあ」
大阪はにこにこしながら頷いている。
食べるのが遅いのはいつものことだが、態度が何となく気持ち悪い。
「とうしたんだよ、ニヤニヤしてさ」
「うん、ちょっとな。その、ともちゃん、サークルかクラブかなんかに入ってる?」
なんだ勧誘か、と智は納得した。どうりで落ち着きのない動きをしているわけだ。


8 :サークル : 2005/03/22(火) 01:40:30
「わたしはまだだけど、大阪はなにやってるんだ?」
「うん。わたしはな、まだ決めてへんねん」
「あ、そーなの?わたしはてっきり何かの勧誘かと………」
「うん、そう。それそれ」
大阪は大きく頷いた。相変わらずとらえどころが無い。
「なんかな、誘われたんよ。新入生集めてコンパするから来てって」
「コンパって、あのコンパ?」
「よう知らんけど、なんか友達つれてこなあかんみたいやねん。
 なあ、お金はいらんみたいやし、一緒にいってくれへん?」
「コンパにねえ………」
確かに大学生活にも慣れてきたし、バイトもまだやっていないので、
時間にも余裕があった。
ちょっと遊ぶのもいいだろう。智は頷いて見せた。


9 :サークル : 2005/03/22(火) 01:40:44
「おっしゃ、行ってやる。わたしにまかせなさい」
「本当?ありがとう、ともちゃん」
「まあね。で、いつ、どこであんの?」
「えっとなあ」
大阪は横の席に置いてあった鞄から手帳を取り出して見せた。
「へへー。これ、いいやろ?これで忘れもんなくなんねんで」
「うわっ、大阪がそんなものを………。お前、刑事志望か?」
「わからんでー?えっと、確かな………。あった、土曜日の午後六時に部室集合」
「え、部室なんてあるんだ。どこの部室?」
「まかせて」
大阪はしばらく手帳を眺めたりひっくりかえしてみたりした後、言った。
「………ちゃうねん」


10 :サークル : 2005/03/22(火) 01:41:40
土曜日の夕方。辺りはまだ明るい。
智と大阪は大学のグラウンドの入り口近くに立っていた。
グラウンド内では、野球やらサッカーやらアメフトやらの格好をした人間たちが
所せましとひしめき合っている。
智は、そうした面々がちらちらと不思議そうな目でこちらを
眺めてきているのに気が付いた。
「大阪、わたしたち、なんか場違いっぽいな」
「あー、ともちゃんはええよ。そんなに違和感ないし」
智は大阪の服装を改めて見てみた。
真っ白なワンピースに桃色のカーディガンを羽織っている。
彼女なりに格好つけたのだろう。
智はといえば、ジーパンに半袖のTシャツと、普段と全く変わらないスタイルだ。
どちらにしても、運動場の前に立つときの格好ではない。
もしかしたら、男を待っていると思われているのかもしれない。
「てかさー。ほんとにここにいたら迎えに来てくれんの?」
「うん。………いや、ほんまやで?」
大阪は智の懐疑的な視線に気が付いたのか、慌てて言い足した。
「だってこの手帳にも書いてあるし………」


11 :サークル : 2005/03/22(火) 01:41:54
「だってその手帳じゃなあ。まあいいけど、そろそろ来てもいい頃なんじゃない?」
智は腕にはめてある時計を見た。六時二十分。
「大阪に似て時間に遅れるやつが来るとみた」
「えー、わたしは朝だけやん」
「そう、その通り。よくわかってんじゃん」
それにしても遅い。こんなに待つのなら、もっと遅く来ればよかった。
だいたい、こんな美女を相手に遅刻するなんて、どういうつもりだろう。
もしかして焦らしているのかもしれない。
焦らす、か。それもなかなか………。
智は自分の想像がみるみる膨らんでいくのを自覚した。
いやいやいや、焦らすのは古来から女の武器じゃないか。
女が焦らしてこそ男も燃え上がるというものだ。
ルパンも、不二子が焦らさなかったら、
『ふっじこちゃーん』
なんていいながら服を脱ぎ捨て飛び込んだりはしなかっただろう。
「あ、ともちゃん。来はった」
智は思考を打ち切り大阪のゆびさす方向を見た。


12 :サークル : 2005/03/22(火) 01:42:16
春だというのにジャンパーを着たその男は、雷同(ライドウ)と名乗った。
「滝野さんっていうんだ、よろしく」
「よろしくお願いします」
「いいよ、敬語使わなくても。春日さんは久しぶり」
「こんにちはー」
などと、形式的な挨拶を交わしながらしばらく歩いていると、
コンクリートの長屋のような建物が見えてきた。
暗くて人気がなく、薄ら寒い雰囲気だ。
トイレがすぐ側にあるのが、建物を使用している人への嫌がらせに見える。
雷同はその建物の一角をゆびさして言った。
「あそこ、一番奥なんだ。
扉にワンダーフォーゲルって書いてあるけど、あれは前ここを使ってた部のことで
今は僕たちのサークルが使わせてもらってる」
「そういえば、どんなサークルなんです?」
重要なことを聞いてなかったな、と思いながら智は尋ねた。
「まあ、平たく言えばイベントサークルだね。詳しい説明は中でしよう」
雷同はそう言って口を濁した。


13 :サークル : 2005/03/22(火) 01:42:57
部室は五畳ほどの広さで、蛍光灯の光に満ちていた。
まず智の目に入ったのは入り口からみて正面にある大きな冷蔵庫だった。
ドア近くには靴入れ、部屋の真ん中に一メートル四方のテーブル、それに
冷蔵庫の隣の食器棚など、なかなか所帯染みた雰囲気だった。
床には黒い絨毯が敷き詰められており、そこで一人の男が座って本を読んでいた。
ポロシャツにジーパンのその男に、雷同が話しかけた。
「おい相原(アイハラ)、なにやってんだ」
相原と呼ばれた男は、面倒くさそうに顔をあげ、言った。
「ああ、コンパに来た子たちか。まだ空いてるから適当に座ってて」
「こいつは相原っていって、俺と同回生なんだ。
この子たちは春日さんに滝野さん。てか相原、もてなせよ。客なんだから」
「僕は座ってもいいと言った。他にすることがない。始まる前にビールを飲んでも
 いいのか?」


14 :サークル : 2005/03/22(火) 01:43:12
「………こういう奴でね。まあ、適当にくつろいでて」
雷同は苦笑いを浮かべてこちらを見る。
「あの、二人だけでやってはるんですか、このサークル」
大阪が尋ねた。
「まさか。あと、男が二人と女が三人いる。みんなまだ電車の中だろうけどね。
 あいつらは理学部だから別の学舎なんだ」
雷同はそういって時計を見た。
「でも、うん。そろそろ来るころだな。俺は迎えにいってくるから、ここにいて。
 相原、ちゃんとビールの準備しとけよ」
「わかった。今する」
相原は本を置いて立ち上がり、雷同は出て行った。


15 :サークル : 2005/03/22(火) 01:43:33
「あの、手伝いましょうか?」
大阪が食器棚を覗いている相原に声をかけた。
智は、わたしたちは客なんだから、んなことしなくていいんじゃないの?と、
言おうとしたが、その前に相原が、
「じゃあ冷蔵庫の中から缶ビールを十三本出して」
と言ってしまった。客に手伝わすとは何事だ、と思ったが口にはださない。
高校時代なら確実に文句を言っていた。
わたしも成長したな、と智はひとりでほくそ笑む。
冷蔵庫は三百五十ミリリットルの缶ビールで埋まっていた。
智はその中から十三本、無造作に取り出して大阪に渡す。
大阪はそれをテーブルに並べていった。
「出した?じゃあ、これに入れるから」
「うわ、なんですそれ?」
智は相原が出した二つの白い陶器の瓶を見て、思わず吹き出した。


16 :サークル : 2005/03/22(火) 01:43:44
それは大きなポットのような形で、三リットルは入りそうだった。
側面に何かを引っ掛けることのできるでっぱりがあり、
飲み物を入れる所と出す所の両方に蓋がついている。
智が笑ったのは、それぞれのでっぱりに、トイレ等にある男性、女性を示すプレートの
ミニチュアがひっかけてあったからだ。
「ポット」
相原は無愛想にそう答えた。
「いやいや、そうじゃなくて。なんでこんなのがついてるんですか?」
「男子用と女子用に区別するため。次はビールをポットに入れてくれないかな。
 男用には八本分、女用には五本分入れてね」
なんとも人使いの荒い男だ。智はしぶしぶ缶を手にとり、作業にとりかかった。
相原は食器棚からジョッキを出している。
それにしても白い陶器の入れ物にトイレのマークとは、いいセンスをしている。
智は男のプレートがぶらさがっている方のポットの蓋を取り、ビールを注ぎながら
そう考えていた。


17 :サークル : 2005/03/22(火) 01:44:03
ビールをポットに入れ終わり、それぞれに蓋をすると、智はトイレに行きたくなってきた。
「ちょっとトイレ」
誰とはなしにそういうと、相原も立ち上がってついてきた。
「僕も行こう」
「なんです?場所ならわかりますよ」
「そうじゃない。僕もトイレだ」
「覗くんじゃないでしょうねー」
相原はじろりと睨み付けてきたが、何も言わなかった。さっきからノリの悪い奴。
靴を履き、外に出てみると、辺りは本格的に暗くなり始めていた。
腕時計を見ると七時五十分。ずいぶんと待たされたものだ。
「焦らすのは女の専売特許なのになー」
「え、何か言った?」
相原が大声で聞き返してきた。右手に小瓶を持っている。
「いえ、何でもないですよ。それ、なんです?」
「睡眠薬」
相原はこともなげに言った。
「僕はね、酔ったら眠れなくなるんだ」


18 :サークル : 2005/03/22(火) 01:44:18
「へえ、そうですか。てか声大きすぎません?」
「大丈夫。ここらはあんまり人がいない」
ここらはあまり人がいない。智はその言葉に背筋を舐められたような感覚を覚えた。
初対面の人間と、こうして暗い中でいるのが急に恐ろしくなってきた。
そういえばこの学校にはよく変質者が出るとか、レイプサークルがあって危ないとか、
悪い噂を聞いたことがある。何故今そんなことを思い出すのだろう。
「あれ、どうしたんだろう」
相原は相変わらず大声で言う。
「え、なになになに、どーしたの?」
智は心中を悟られないようにと、大声で返した。
「ねえ、滝野さん。誰かいるのかな。声がするような」
智は耳をすませた。確かに誰かが喋っているようだ。雷同の声も混ざっている。
「はーん。そういえば雷同さんの声がしますなあ。


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