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こっそりSSを書くスレ

144 :Ero★ : 05/07/10 05:44:15 ID:???
あの笑顔を、もう1度


今日も相変わらず太陽がジリジリとアスファルトを焼いている。
照り付ける太陽の下、私は待ち合わせ場所に向かって走っている。

「やば、遅刻だ、また怒られる・・・」

私は高校を卒業してから、よくともと遊んでいる。
榊は勉強で忙しいみたいで、遊ぶ機会が少ない。
でも、ま、いいか。ともと一緒にいる時間は好きだ。
それより急がないと、どうなるかわからない。
という訳で、私は全力疾走で向かう事にした。



目的地が見えてくると同時に、足踏みをしているともの姿が目に入った。
一目見た所、大分ご立腹のようだ。

「神楽、遅いぞーっ!!」

あー、やっぱり怒ってる・・・。
まあ、遅れちゃったのは私だしな。

「ハァ・・ハァ・・・ごめん・・急いで来たんだけど・・・」
「あんまり遅いから心配したろー!?」

ズイッと身を乗り出して、私の顔を覗き込んできた。
炎天下で待っていたせいか、ともはしっとりと汗ばんでいて、甘い香りがする。
・・って、なんて事考えてんだ、私は!?

「あの・・ほんとにごめん・・・」
「ま、なんともないんならいいけどな」

そういうとポッケからハンカチを取り出し、私の汗を拭う。

「あ、ありがと。後は自分でやるよ」
「いいよ、私のために急いでくれたんだろ?」
「そうだけどさ・・・は、恥かしいだろ・・・」

ぼそぼそと呟いた私の顔は、太陽に負けない位、真っ赤になっていたと思う。
・・・でも、なんでとも相手に赤くなってんだ?

「なんで赤くなってるんだー?変な奴だな」

ともが首を傾げて不思議そうな顔をしている。
確かにその通りだ。別に赤くなる事なんてないはずだよな。

「べ、べつに変じゃねー!!」

何故かわからないけれど、ムキになって反論してしまう。
変って言われたのが悲しかった・・・のかな。

「やっぱあんた変だって、ほんとに大丈夫かー?」

心配そうなともの顔が、私の顔に近付いてくる。
ともの顔が近付くにつれて、カァーッと顔が熱くなる。
まるで熱病になったかのように、頭がボーッする。
ともの甘い吐息が、私の頬をくすぐる。
血色の良い肌と柔らかそうな唇だけが、やけにハッキリと目に映った。
そして、気付いた時には、私はともを抱き締めていた。 

「な゛・・・な、な、なにするんだー!!」

無意識の内に、ともの頬に手を伸ばして、その柔らかそうな唇に、口付けた。
キスされたのに気付いて、ジタバタと暴れているが、私はそんな抵抗も愛しく感じた。
少し力を入れれば折れてしまいそうな体を、優しく抱き締めると、強引に舌を絡めた。
ともが舌を追い出そうとする度に、互いの舌が深く絡み合う。
そして、唇から、ぴちゃぴちゃと淫らな水音が漏れている。
暫くそうしていると、ともの体から、だんだん力の抜けていく。
最後に軽い口付けして、唇を離すと、銀色の橋が掛かって、プツンと切れた。
そして、まだ少し息の荒いともの顔を見ると、目尻にうっすらと涙を滲ませていた。

「・・なんで・・こんな事・・したんだよ・・・」

ともの呟いたその言葉を聞いた瞬間、私は途轍もない罪悪感に駆られた。
もしかすると、私は取り返しの付かない事をしてしまったのかもしれない。
今まで築いていた関係が、目の前でボロボロと音を立てて崩れていく気がした。

「・・・ごめん・・」

私には、そう呟くだけで精一杯だった。
悲しげに私を見つめている瞳から目を逸らし、その場から逃げ出した。
ともが何か言っていたけれど、何も耳に入らなかった。
・・・私が、ともの言葉を聞く勇気を持っていなかった。



 〜 続く 〜


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