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[4]sage 05/04/19 01:09:43 ID:Ow3vJW1Q
同日 午後四時 通学路
「と、いう訳で、私はめでたく期末テストを乗り切るのでした。おしまい」
滝野智は、得意げに話を締めると、勝ち誇ったような目で一緒に帰っている連中を見つめた。
「どう?この完璧な計画。こんなに簡単なこと思いつくなんて、やっぱ私ってー」
「あのなあ。そんなこと考えてる暇があるなら勉強しろよ」
水原暦は呆れて智から目を睨んだ。
「まったく、なにが大事な話があるー、だ。こんなことならさっさと帰っときゃ良かったよ」
「あー、でもそれ、一理あると思うで」
春日歩はいたく感心したように言った。
「確かに死んでまうんやったら、勉強なんかしても意味ないもんなあ。
ともちゃん、なかなかええ考えや」
「でも、そんな確率はほとんどないですよ」
小柄な美浜ちよが、苦笑いしながら話に入った。
「確かにともちゃんの言うとおり、今年の九月からBR法が変更されて、高校生も対象になったんですけど、
 実際に選らばれる確率なんて、交通事故に会う確率よりもずっと低いんです。
 そんなことが気になって勉強できない、なんて言い出したら、あっという間に非国民扱いですよ。
 ちょっと古い言い方ですけど」
「そのとおり。大体ともがそんなこと言っても、サボりたい口実にしか聞こえないな」
暦は智を横目でちらりと見てから、ちよに向かって言った。
「九月といえばさ、いろいろ法律ができたよね。あれっていまいち判りにくいんだけど、どういうことなの?」
「ええ、たしか海外旅行の規制に関する法律と、治安維持に関する法律ですよね。
 あれには反対意見も多かったみたいです。
 でも海外旅行の規制って、今まで合法的にアメリカや中国に行けたことが異常だと考えれば、
 あって然るべきものだと思いますよ」
全然わかりませーん、といわんばかりに、智は両手を上げてみせた。
歩は判っているのかいないのか、にこにこしながらちよの話を聞いている。
「もう一つの治安維持法だって、前の戦争中に布かれたものと同じですし、
 今のインターネットなどにはびこる憂国思想が
 この国に悪い影響を及ぼすと判断されたからこそ施行されたんです。
 なにごとも大日本帝国のため、ですよ」
「お国のため、か」
黙々と歩いていた榊がそう呟いたのを、暦は聞いた。この大女は何を言いだすんだろう。
なんとも言えない不快感が体に忍び寄ってくるような気がした。
………。
沈黙が流れる。
「そ、それにしても冬休みの合宿楽しみですねえ!」
ちよが慌てたようにそういったが、誰も返事をしなかった。
カキコミ
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