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[11]BRA 開場 05/04/20 17:35:07 ID:???
同日 廃校 午後四時二十五分

黒沢みなもは体を硬直させていた。ここが正念場だ、と自分に言い聞かせる。
自分の学校の会議室にある物とそっくりなテーブルに座っているのは、
自分のほかに、いつもと全く変わらない様子の校長、石川、木村。
頭を抱えたままの後藤、そして、まだ眠っている谷崎ゆかりだった。
周りには迷彩服を沢山の兵隊が、銃を持ってこちらを取り囲んでいた。
「えー、彼らの事は気にしないで下さい。彼らはプロです。愛国心溢れる国民を傷つけたりはしません」
石川はそう警告すると、後藤のほうをじろりと睨んだ。
「判っている方もいらっしゃるかと思いますが、これは学習合宿ではなく、
 BR法に基づくプログラムです。今年の九月に法律が改正されて、初めてのもの
 なので、失敗は許されません」
石川は、そう言って自分の目の前に置いてあった紙とペンを配り始めた。
「みなさんには、ここにサインをしてもらいます。簡単な宣誓書ですね。
 もしプログラムにふさわしくない行動をとった場合、自分を含め、
 親族に極刑を施してもよい、という内容ですが、まあ気休めですね。この宣誓書は、
 治安維持法とかぶります」
全員にサインさせた後(ゆかりはまだ眠っていたのだが、みなもが優しくたたき起こした)、
次のプリントを見て下さい、と石川は職員会議のときのように言った。
「これは、このクラスの名簿です。まあ、みなさんお判りでしょうが、今回のプログラムは………」
「ちょっと待ってください」
後藤がいきなり立ち上がった。それに反応し、何名かの兵士が銃を構える。
「これは何なんです?この生徒は………」
後藤の顔は真っ赤で、顔を引きつらせていた。
「後藤健太のことですか?彼は今日から三組になりました。
 理由は、成績のバランスをとるために、です」
石川は、後藤の顔を覗き込んだ。
「息子さんのことは、お察ししますよ」
「なんでこんなことを」
後藤は、顔を背けて下を向く。
「それが私たちの仕事だからです」
「私は、我慢できない」
「そもそも何故、息子さんがこのクラスに入っているか、お判りですか?」
何を言い出すんだろう………?みなもには判らないことだったが、
後藤は、我に返ったように顔をあげた。
「もしかして去年の夏の………?しかしあれは単なる旅行で」
「その後からですよね?地域の反国運動が起こり始めたのは。
 なかなか首謀者が誰だか判らなくて、公安の方々も苦労されたようです。
 先日、やっと組織の人間を捕まえて、吐かせたそうですよ。
 後藤先生、一つ、お聞きしたいことがありまして、いま言われた去年のアメリカ旅行の事なのですが………」
兵士たちが数名、後藤を取り囲んだ。
「私ははめられたのか」
後藤はみるみるうちに青ざめていった。
「………すまない」
動けなかった。木村も、校長も、木彫りの人形になったかのように動かない。
ゆかりが、みなもの腕をぎゅっと掴んだ。
カキコミ
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