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エログロ専用SS
9 BRA 開場 05/04/20 17:20:24 ID:??? 十二月二十四日 午後一時 大型バス内 西湖優久は誰かの笑い声で目が覚めた。朦朧とする頭の中で、 自分がどこにいるのかを再確認する。バスの最後尾の窓際の席。 「起きたか………」 隣に座っている森野豊が声を掛けてきた。 「ああ、えっと。まだ着かないのか?」 西湖はそういいながら、額に手を当てた。大分眠っていたらしい。 森野は返事をしなかったが、そういう人間だと西湖にはわかっていたので、 特に腹もたたなかった。 (それよりもムカつくのは) 西湖は前の方の席に固まって騒いでいる女子の群れをじっと見つめる。 (あの女たちだ。一体、学習合宿に行くのに何を話すことが必要だというんだ) 「アハハハハ、ばっかじゃねー!」 滝野智の、特に耳障りな声が聞こえてきて西湖は顔をしかめた。 「な、なんだと!ちくしょー!」 神楽具香の叫び返す声も、西湖の神経を逆撫でする。 「ぎゃははは、ありえねー!」 担任の谷崎ゆかりまで、奇声を上げ始めた。 「女ってのは」 思わず呟く。 「なんでこう、声をあげたがるんだ」 「お前には男の声は聞こえないのか?」 森野が不思議そうにこちらを見た。耳を澄ますと、確かに聞こえてくる。 「この塗料高かったんだぜ。でも買った。十本入りだしな!」 「大山、なんだそれ。正座早見板か?」 「後藤くんも来て欲しかったなあ。神楽さんが入ってきて五組に飛ばされちゃったしなぁ」 「野朗!ジャンプっつったら北斗だろうが!」 だが、高い女の声に比べたら、それ程苦痛ではない。 女の声は囁き声すら、耳にざらざらと入ってくる。 「千尋、ホントは彼の隣がよかったんじゃないの?」 「な、なによ。かおりんだって本当は榊さんの隣がよかったんでしょ」 「とうぜん」 「へーっちょ」 「あ………、猫」 西湖は、いつの間にか自分が歯ぎしりしているのに気がついた。大分気が立っている。 「さて、みなさん」 突然、一番前の席で黙って座っていた古文担当の木村が、両手を叩いて立ち上がった。 一瞬、誰もが(滝野さえも)声を沈めたのは、やはり教師だからだろうか。 「もうすぐ着きますが、準備はよろしいですね。あんまり騒いで怪我しないように。 谷崎先生も、あまり騒がせないで下さいね」 「あ、ええ。すみません………?」 「では、今からガスを配布します。眠るだけですから、心配しなくて大丈夫です。 ちなみに、運転手さんと私はこのマスクをつけます。これも心配しなくて大丈夫です」 木村は何を言ってるんだ?と思う間もなくまぶたが垂れ下がってきた。 隣の森野は、もう目を瞑っている。西湖も、これ以上目を開け続けることに耐えられなかった。 「え、え、どういうこと、何で………」 女の声が聞こえる。担任だろうか?しかし、そんなことは今の西湖にはどうでもいいことだった。
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