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285 ○ 05/10/04 00:49:09 ID:TAKE THE A TRAIN 「ねぇまこと、私がいなくなったらどうする?」 「は?」 あれは確か俺が中学三年の時のことだ。 夏が過ぎて、ようやく風が冷え始めた秋の夜。 部屋でテスト勉強をしてた俺は、突然ノックもなく現れた姉ちゃんに後ろから羽交い締めにされて、文字通り姉ちゃんの部屋に引っ張り込まれた。 そして突然の事に目を白黒させてる俺の顔を姉ちゃんは真剣な表情で真っ正面から見つめて、そんなわけのわからない質問をしてきたのだった。 「何惚けた事言ってるんだよ。テスト勉強の邪魔しといて―」 「うるさいわね。いいから答えなさいよ」 どうやら姉ちゃんは本気らしかった。 一夜漬けの最中で一分たりとも時間が惜しい俺は、とりあえず当たり障りのない適当な答えを返した。 「あーもう…いなくなったら寂しい寂しい。これでいい?」 「ダメ。適当じゃなくて、本気で答えなさい。私がいなくなった生活を想像して答えるのよ」 こりゃ適当に答える方が時間を無駄にしそうだ。 そう思った俺は、目の前の姉ちゃんがいない生活を想像してみた。 朝蹴られて起こされる事もないし、飯のおかずをとられることもない。 風呂の時間でもめることも、チャンネル争いすることもなくなる。 部屋にノックもなしに入られて挙げ句オナニーしてるを見られて気まずい気持ちになることはもう起こらない。 それは中々素晴らしいように思えた。 「多分楽になる」 俺のその答えを聞いた姉ちゃんは、ちょっとだけ寂しそうな顔をしながら「そう…」と言うと、 俺から視線をはずして立ち上がり、部屋の窓の縁に身体を預けた。 「―なんだよ。結局」 「別に。無駄な一夜漬けに必死な弟へのただの嫌がらせよ」 夜空にぽっかり空いた穴みたいな月に向かって姉ちゃんはそう呟いた。 それから数日後。 姉ちゃんは道を歩いてるところを脇見運転の車に轢かれて、 一週間生死の境をさまよってから死んだ。
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